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タイ南部ヤラー県の判事が、被告人に無罪を言い渡した後に銃で自殺を図り大きな注目を集めている。裁判官は一命を取り留めたが、脾臓を打ち抜く重傷を負った。
同県の地方裁判所で4日、判事を17年以上務めていたカナコーン・ピアンチャナ(Kanakorn Pianchana=トップ画像)氏が、殺人容疑で死刑を求刑されていた5人のイスラム教徒の男性を「証拠不十分」として無罪放免の判決を下した。
すると、その場でピアンチャナ氏は25ページにわたる声明文を声に出して読み始めた。
「私の言葉は鳥の羽のように軽いだろうが、心は山のように重い」
「判決を行う権限を裁判官に返してください。正義を民衆に返してください」
そしてピアンチャナ氏は声明文を読み上げていくなかで、”上司”から被告人に有罪判決を下すよう圧力をかけられていたことを明かしたのだ。彼は、首席裁判長から「5人を罰するよう書かれた手紙を渡された」と訴えた。

見舞いに訪れたタイ弁護士協会の幹事長 Source: The New York Times
アメリカメディア『The New York Times』によると、タイでは判事の裁決を首席裁判長が審査して、判決の再検討が行われることがあるという。
彼は全文を読み上げた後、銃を取り出して胸付近に発砲した。ピアンチャナ氏はすぐに病院へ搬送され、脾臓に損傷を負うも回復に向かっているという。
ヤラ―県を含むタイ南部は『深南部』と呼ばれており、分離独立を求めるイスラム教徒と同化政策を進めるタイ政府との衝突が深刻化している。