Source: Vava, MELO 谢宇杰/Instagram
香港では現在、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案に反対する数百万人規模の抗議デモが数か月間に及び続いている。
香港警察の暴力的なデモ鎮圧手段によって失明者が出るなどして批判が高まる一方で、中国の国営メディアは「香港の反中デモは分離主義者による過激なテロ行為だ」として、反政府デモを厳しく非難している。
更に、「失明した女性はカネで雇われている工作員」「外国の勢力が裏でコントロールしている」などという未確認の情報を大々的に報じているのだ。
こうした報道により、中国国内では香港警察を応援する声が高まっている。そんななか、『Higher Brothers』や『Miss Vava』など中国系の人気ラッパー達が、インスタグラムを通して香港警察を支持する声明を出したことが話題を呼んでいる。
「中国人であることを誇りに思う」
「香港は何という恥さらしだ」
「香港は永遠に中国の一部だ」
中国国旗や真っ赤な背景色で、挑発的なメッセージを掲げたラッパー達。これは8月13日に、本土からの記者がデモ隊に拘束されて暴行を受けたというニュースが彼らを激怒させたと見られている。
更に17日、中国政府出資というラッパーグループの『Chengdu Revolution(CD Rev)』が作成した、香港の抗議デモに対する怒りをぶつけたラップ曲が国営メディア『CGTN』の公式YouTubeチャンネルに投稿された。
英語訳を見てみると、デモ隊に対する批判というよりは、「裏でコントロールしている欧米勢力」を非難する内容となっている。
「中東の街から外国軍を撤退させたら話し合ってやるよ」などとアメリカ主導の有志連合軍による中東諸国への空爆を引き合いに出し、「香港デモの黒幕は誰だ?」と続ける。すると今度は「アメリカは偽善者だ」「アメリカは愛を知らず、戦争しかできない」と名指しで罵倒した。
更にヒラリー・クリントン元国務長官が香港デモの支持を表明したツイートを載せ、「クリントンさん、あなたは中国国民のことも何も知らない」と加えた。
最後にはトランプ大統領が「香港で何かが起こっている」と話す動画を映し、CD Revは「誰かが香港を中国から引き離そうとしている。暴力が横行しているが、俺達は共に抵抗するつもりだ」と歌う。
そしてCD Revが「大統領、なにかアドバイスは?」と質問すると、トランプ大統領は「香港は中国の一部だから、私のアドバイスは必要としていない」と驚きの回答をした。しかし、これは彼が実際に発言したものではなく、動画の作成者がトランプ大統領の声を繋ぎ合わせた偽の発言だ。
イギリスメディア『BBC』によると、ツイッターとフェイスブックは19日、香港反政府デモの虚偽情報の拡散を目的とした20万以上のアカウントを削除したと発表した。
フェイスブックのサイバーセキュリティー対策部の責任者ナサニエル・グライシャー氏は、「こうした活動の背後にいる人物は、自分たちの身元を隠そうとしていた。しかしわが社の調査で、中国政府と関わりを持つ複数の個人とのつながりを確認した」と述べている。