Source: Instagram/@ayelet.shaked
4月9日に迫るイスラエル国会の総選挙に向けて、極右タカ派で知られるアイェレット・シャクド法務大臣(Ayelet Shaked=トップ画像右)のキャンペーン動画がインスタグラムにて公開された。
モノクロで一見お洒落な仕上がりとなっているが、動画内で示されているメッセージが「ファシズム(国粋主義)を賛美している」と世界中から非難の声が上がっているのだ。
「司法改革」
「最高裁の権限を制御」
「改革主義者を抑制する」
ピアスを付けてジャケットを羽織るシャクド法務大臣の映像と共に、上記のような選挙公約がテロップとして映し出されていく。そして「Fascism(ファシズム=国粋主義)」と書かれた香水を上品に振りかけた法務大臣が、カメラに向かって「デモクラシー(民主主義)の香りがするわ」との決め台詞を残しキャンペーン動画は終了する。
すると、動画には賛否両論の声が殺到した。主にイスラエル国民と見られるユーザーからは好意的な意見が多く寄せられるも、イスラエル人以外からは「悪趣味だ」「パレスチナに自由を」「イスラエルに死を」などと法務大臣に怒りをぶつける人達で溢れ返った。
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「修正シオニズム(Reform Zionism)」とも呼ばれる大イスラエル主義を支持するシャクド法務大臣は以前から、公に極右思想を掲げてきたことでリベラル層や国外から強い非難を受けていた。
2014年にはガザ紛争と絡め、「我々の敵はパレスチナ人だ。彼らが先に戦いを仕掛けてきたのだ。」「テロリストを育てた母親も同罪だ。彼らは全員この地を去るべきだ。さもなければ、今以上にテロリストの卵がイスラエルの地で育ってしまう」などと自身のフェイスブックに書き込み大炎上。この発言は彼女のものではなく、ネタニヤフ首相の元政治顧問であるウーリ・エリッツァ(Uri Elitzur)氏の執筆した記事から抜擢されたものだが、民族浄化とも捉えられる文言を引用したことで物議を醸し、トルコのエルドアン大統領は彼女を「ヒットラーだ」と批判した。
また、彼女はリベラル傾向にあるイスラエルの最高裁判所に対して長年抗議の姿勢を保ち続けており、「最高裁と戦争する」などと過激な発言も残している。
一方、4月9日に行われる総選挙で彼女の所属する政権与党『リクード(Likud)』はネタニヤフ首相の汚職疑惑によって苦戦を強いられており、中道派の政党連合『青と白(Blue and White)』が支持を伸ばしている状況だ。10年ぶりの政権交代となるか、注目が集まっている。