Source: Kansas Department of Corrections
アメリカはミズーリ州カンザスシティにて昨年夏、1999年に強盗罪で有罪判決を受けた男性リチャード・ジョーンズ氏(画像右)が、「証拠不十分」として釈放された。再審で無罪が確定されれば、彼が冤罪で奪われた人生は約18年間にも及ぶ。
更に驚くことに、彼が逮捕・起訴された理由が「容疑者と顔が似ている」という目撃者からの証言だけのことだったのだ。
そして釈放1年後、42歳となったリチャード氏はカンザスシティに対し100万ドル(約1億円)の補償金を請求するため、有罪判決を下したジョンソン郡地裁へ嘆願書を申請した。
司法に奪われた人生を取り返すために
Source: Midwest Innocence Project
ジョーンズ氏は、2015年頃に囚人らから「常習犯のリッキー・アモス(トップ画左)に似ている」と言われたことを皮切りに、冤罪の可能性がある受刑者を無償で支援する団体Midwest Innocence Project(ミッドウェスト・イノセンス・プロジェクト)に連絡を取ったという。
依頼を受けた同団体が調査を開始。DNA分析や指紋解析の結果、ジョーンズ氏による犯行の形跡は証明されなかった。また、彼の投獄の決め手となったのが「目撃者による証言」であることから、彼と容姿や年齢が瓜二つの常習犯リッキー・アモスと間違われた可能性が高いと判断したのだ。
同団体による調査の結果、ジョンソン郡地裁は証拠不十分としてジョーンズ氏を釈放。出所後は家族や友人らに迎え入れられ、ジョーンズ氏は19年間会うことのできなかった娘と孫娘を強く抱き締めた。
Source: Midwest Innocence Project
そして1年後、ジョーンズ氏は同団体と協力し、ジョンソン郡地裁へ1億円の補償金を支払うよう要請。
ジョーンズ氏は、補償金を要請するに至った思いを語っている。
「司法に奪われた18年分の人生は、もう絶対に取り戻すことができない。僕はただ、普通の人間として、父親として暮らしていただけだ。子供達に囲まれて生活していたから、投獄された時は本当に苦痛だった。釈放された後も、社会に復帰するのに苦労を強いられている。」
彼の弁護士であるリチャード・エインスワース氏は、「普通の生活を送るためにも、早く彼の無罪を証明してあげたい」と訴えている。
ジョーンズ氏は補償金とは別に弁護士代と娘達の教育費も要請するとのことだ。
また、クラウドファンディングサイト「Go Fund Me」でもジョーンズ氏を支援するための募金活動が開始され、「冤罪で奪われた18年間を埋めるには、100万ドルは安すぎる」と主張している。