Source: Carney Mak/Facebook
東南アジアで圧倒的なシェアを誇る配車アプリ『Grab(グラブ)』の運転手が、財布の忘れ物を届けるため200㎞も先にいる乗客の元まで走行し、注目を集めている。
シンガポールの英字新聞『Straits Times』によると、サティーシュ・カルップサミーさん(トップ画像左)は4日の夜、マレーシア南部ジョホールバルで、シンガポールから日帰り旅行に来ていたというカーニー・マクさん(トップ画像右)を乗車させた。
すると5日の未明、カルップサミーさんの携帯にグラブから1件の通知が届いた。カーニーさんが財布を車内に置き忘れたという連絡だった。
後部座席でプラダの財布を発見した彼は、カーニーさんに「明日の夕方届けに行きます」と返信。当日は港湾都市のマラッカに家族旅行を予定していたため、6日に届けると告げたという。
しかし、5日の夕方だと勘違いしたカーニーさんはその日、シンガポールからジョホーバルに入国してしまう。それを知ったカルップサミーさんは、家族旅行中にも関わらず彼に財布を届けるため、マラッカから200㎞先にあるジョホーバルまで行くことを決意したのだ。
事情を聞いたカーニーさんは感謝の印としてカルップサミーさんをシンガポールでの夕食に招待し、さらに彼の貢献を現地の情報サイトに寄稿した。2人のニュースは大きな反響を呼び、カルップサミーさんの献身的な姿勢に称賛の声が殺到している。
カルップサミーさんはStraits Timesの取材に対して、長距離でも忘れ物を戻そうとした理由をこう語っている。
「2002年に僕も、タクシーの車内に携帯電話を忘れたことがあったんだ。でも、その時は誰も対応してくれなかった。大切なものを無くした時の不安な気持ちがよく分かるから、見過ごすわけにはいかなかったんだよ」
一方で彼は、忘れ物を届けることは「人としての流儀」と述べ、それがニュースとして大きな注目を集めることは悲しいことだ、と訴えた。