Source: makingastatementinsped/Instagram
アメリカの教師たちの間では今、ある”チャート”が注目されているという。それは、担任するクラスの生徒達に「匿名」で彼らの精神状態を確認させるというものだ。
カリフォルニア州のサンフランシスコ湾岸地帯にある高校の教師エリン・カスティヨ(Erin Castillo=トップ画像右)さんが思い付いたこのチャートは、彼女が自身のインスタグラムに投稿した後、瞬く間に話題を集めた。
ある女性教師が、教師用の精神状態チェックシートを作成したことから本チャートの着想を得たというカスティヨさん。学生らには毎朝、付箋の裏に名前を記載してもらい、チャートに書かれている6つの精神状態に最も当てはまる箇所に貼るよう促した。
6つの精神状態とは、「最高」「まぁまぁ」「あんまり」「頑張ってる」「辛い。話を聞いて欲しい」「苦しい状況に置かれてる」というように分かれている。
匿名で提出できることが功を成してか、多くの学生らがチャートに付箋を貼ってカスティヨさんのアイディアに協力したのだ。そして、下位2つに付箋を貼った生徒からは個別に話を聞くと説明したところ、実際にカスティヨさんの元へ訪れた生徒からは普段聞けないような本音が飛び出してきたという。
「学生数人と話をすることができたわ。みんな、学生生活の苦悩を語ってくれた。高校って、時には自分にとって凄く苦痛よね。でも、そういう思いを他の人と共有して解決に向かって一緒に対処できる安全な居場所ができたことは、すごく嬉しいわ。」
こう喜びを語るカスティヨさんは、精神状態チェックシートが成功したことを受け、他の学校でも同じ施しを提供できるように無償でチャートの雛形を印刷できるサービスを構築した。
また、悩みや苦悩を共有できることの他に、チャートが提示されていることで精神的に辛い思いをしているのは自分1人だけではないということに気付けることも、学生らの精神面を改善させることに繋がると肯定的な意見が寄せられている。
アメリカでは過去30年の間に高齢層を除く全世代の自殺率が増加傾向にあり、女子学生の自殺率に至っては約20年前と比べて3倍に跳ね上がっている。カスティヨさんの学校でも自殺を遂行しようとした学生が数人出たといい、そうした現状を打開しようと行動に移したという。