Source: Branden Rodriguez
アメリカはカリフォルニア州の名門校、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で社会学の学士号を取得したジェニファー・ロッチャ(Jennifer Rocha)さんは今年5月、卒業祝いとして知人の写真家ブランドン・ロドリゲスさんに記念撮影を依頼した。
そこにはアカデミックドレスに身を包み、自信に満ちた表情を見せるロッチャーさんが、何やら畑仕事を模したような佇まいでポーズを決めていた。
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実はこの畑は、農家であるロッチャさんの両親が作り上げたピーマン畑なのだ。
現地メディアによると、彼女の両親は10代の時にメキシコのミチョアカン州からアメリカへ渡り、現在はロサンゼルス市近郊のリバーサイド郡で農家の経営を始めたという。
2人は大学への進学を切望していたが、その願いを叶えることは出来なかった。
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両親は学位取得が如何に重要なことかを理解させるため、高校に進んだ子供達に「移民の肉体労働者」として働く経験を積ませた。しかしロッチャさんは、大学へ進学した後も自分の希望で畑仕事を続けていたという。
「授業が終わって部活に励んだ後、お父さんが車で迎えに来てくれるの。そして家に到着したら、すぐに畑仕事を始めるのよ」とロッチャさん。彼女は貧しさ故に寮生活を送ることが出来ず、公共交通機関を利用して毎日長い距離を行き来していたと話す。
「大学警備員のバイトと掛け持ちしていたから凄く大変だった。何度も諦めようと考えたけど、お父さんお母さんから助言を受けたりサポートがあったお陰で続けることが出来たわ」
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UCSDのインタビューに応えたロッチャさんは、畑仕事に従事してきたことで様々な困難に立ち向かう忍耐力と回復力が付いたと述べ、人目に触れない作業現場で働く肉体労働者へ感謝の意を表している。
「生産者の方々には尊敬の念に堪えません。毎日、腰痛に耐えながら顔の周りを飛ぶハエや蚊を振り払い、一生懸命畑を育てているの。
スーパーに並ぶ野菜を手に取るとき、生産現場で起きていることを思案する人は殆どいないでしょう。でもその裏には、身体の痛みと闘いながら毎日肉体労働に従事している作り手の姿があるのよ」
学士号の取得は、ロッチャさんの一族として初となる快挙だ。ロッチャさんは卒業後1年を休学期間に設け、その間に社会学分野での実務経験を積み、修士号と博士号の取得を計画しているという。
そして将来的には、法執行機関で勤務することを夢見ていると語った。