Source: Kenneth Felts/Facebook
ある90歳男性が今年6月、Facebookで自身が同性愛者であることを初めて公表(カミングアウト)し注目を集めている。
「私が若い頃、ゲイは忌み嫌われる存在だった。今のように、LGBT+への支援は無いに等しかった」
アメリカ中西部コロラド州に暮らすケニス・フェルツさん(トップ画像)は、若かりし時代をこう追想する。
Source: Kenneth Felts/Facebook
そのため彼はゲイであることを隠し、周囲には異性愛者として振る舞っていた。
「外面は女性が好きな”ケン”として生きていた。ケンは自分の中にいる男好きの”ラリー”を表に出さないように、必死に押さえ付けていた」
そうしたなかでフェルツさんは、29歳の時に職場で出会った5歳年下の男性、フィリップ・アレンさん(画像下)と恋に落ちた。2人は周囲に内緒でデートを繰り返し、一時は同棲もしていたという。
Source: Kenneth Felts/Facebook
しかし数ヶ月が経ち、「キリストの教え」に歯向かっている自分に罪悪感を抱いたフェルツさんは、アレンさんと別れることを決意。その後は再びケンとして生きてゆき、女性と結婚して娘を授かった(現在は離婚している)。
そして今年、新型コロナウイルス感染症による外出制限で自宅で過ごす時間が増えたため、その間フェルツさんは自分の人生を振り返っていた。すると、メモを取っているなかで「若い時の辛かった思い出が蘇ってきた」というフェルツさんは、生涯をかけて抑圧していた”ラリー”が自由を求めていることに気付く。
さらに昨年の秋に悪性腫瘍が発見されたことが重なり、今年5月に同じく同性愛者の娘(画像下)に自身がゲイであることを初めて告白したのだ。
Source: Kenneth Felts/Facebook
フェルツさんは自身のFacebookに、カミングアウトした喜びをこう語っている。
「ようやく、僕は自由になった。着たい服を着て、染めたい色に髪を染めて、周囲の視線を気にせずに生きていけるんだ」
しかし、アレンさんに別れを告げたことは「今でも悔やんでいる」と後悔の念を明かした。
さらに、フェルツさんの投稿を見た女性がアレンさんの行方を突き止めたが、数年前に他界したことが判明した。アレンさんは別れた後もゲイである自分を受け入れる道を歩み、恋人と共に暮らしていたという。またアレンさんの姪によると、彼は「幸せで満足した人生を過ごした」と話している。
フェルツさんは「さようならも言えないなんて、胸が張り裂けるほど苦しい」と悲痛の叫びを訴え、「若かった日々を輝かしいものにしてくれて、ありがとう。安らかに眠ってください」とアレンさんへ哀悼と感謝の意を表した。
Source: Kenneth Felts/Facebook
「僕が何から自由になれたかって?何かをしたいと思った時に、他人からの承認を気にして思い留まることが無くなったことかな」
肩の荷が下り、解放された気分だと嬉しそうに語るフェルツさん。現在は疎遠だった娘との距離を縮め、2人でプライド・パレードに積極的に参加するなどしてLGBT+コミュニティーの支援活動に尽力している。