LGBTQ(性的少数派)のBrandon Hilton(ブランドン・ヒルトン)は、ノースカロライナ州を拠点としたストリッパー用のコスチュームブランドThe House Of Mannを手掛けるファッション・デザイナーだ。
ニッチな市場を狙うブランドンは今年、「ドラッグクイーンが大好きな8歳の息子のためにコスチュームを作ってくれないか」と、ある女性から依頼を受けたという。
その息子というのは、「8歳でドラァグクイーンに目覚めた男の子」として去年から注目を浴び始ていたNemis Quinn Melancon Golden、芸名はLactatia(ラクタテイシア)。
ドラァグクイーンの大会、RuPaul’s Drag Conに登場したラクテイシア。
彼は8歳にしてドラァグクイーンに興味を持ち、今でもメディアから引っ張りだこの状態だ。
「まだ子供なのに、自分のやりたいことを見付けられたのは良いこと」という人もいれば、「ドラァグクイーンなんて、何もしない母親はどうかしているぞ」と冷たい反応を見せる人も。
それでも本人は誹謗中傷に振り回されず、ドラァグクイーンのショーに出たりファッション誌のインタビューに答えたりと、自由気ままなライフスタイルを送っている。
そんな自由奔放なラクテイシアに、ブランドンは煌びやかなスパンコールのロンパースをプレゼント。そして、自身のブランドのモデルとして彼の写真を公式サイトにアップし、ツイッターでも紹介した。
8 year old Drag Superstar Lactatia for @TheHouseofMann
✨https://t.co/Jq8b1QPFxP✨ pic.twitter.com/nUo8AQjTU0
— Brandon Hilton (@BRANDONHILTON) 2018年1月2日
「The House Of Mannのモデルに、8歳のスーパードラァグスター、ラクテイシアを抜擢!」と誇らしげにブランドンはツイート。
キッズモデルを起用したという何の変哲もないツイートだが、これが一夜にして批判の嵐を呼んでしまったのだ。
モデル起用は「子供を搾取している」と批判を受ける
woke up to countless tweets telling me “kill yourself” and calling me a “pedo” after we announced 9 year old drag superstar Lactatia as our new HOUSE OF MANN covergirl…
If you can’t handle a kid in a sequin onesie, maybe the future isn’t for you! pic.twitter.com/7HPbwzbMYX
— Brandon Hilton (@BRANDONHILTON) 2018年1月6日
「朝起きたら、”死ね”とか”小児愛者”だとかいうメッセージが来てた。僕がブランドのモデルにラクテイシアを使ったからだ。スパンコールのロンパースを着たから何だって言うんだ」とブランドンがツイートしたのを機に事態が発覚したのだ。
ドラァグクイーンご用達のコスチューム・ブランドに8歳の子供を使ったことで、ネットユーザーから小児愛者だとレッテル貼りをされたり、果ては「殺してやる」などという脅迫文さえ送られてきたという。
キッズモデルを服のブランドに起用するのはよくあることだが、ここまで批判が広まったのは彼のブランドが”ストリッパー用”のコスチュームであるためだ。
しかし、ドラァグクイーンの衣装はストリッパー風なのが常識である。米大手ニュースサイトBuzzfeedによれば、ブランドンも「ラクテイシアを性的利用したつもりなんて全くない」と釈明。
また、彼は「ラクテイシアもすごく喜んでいたし、彼の母親も僕に感謝していた。誰も嫌な思いをしていないのに、こんなに批判される意味がわからない」と訴え、ブランドへの批判に対しては「もし僕のブランドがセックス用の服だと思っているのなら、怒る理由も理解できるさ。でも僕のブランドはセックス用じゃないんだ。普通の洋服屋なんだよ」と反発した。
コスチュームの依頼をした母親はブランドンを擁護
コスチューム・デザインを依頼したラクテイシアの母親は、Buzzfeedにこうメッセージを残した。
「私たちはネット上のコメントは読まないというルールを設けているの。ネットは憎悪に満ちた酷い場所だからね。ブランドンに対する誹謗中傷は、本当に最低な行為で、コメントを読まない大切さを再確認したわ。」と批判を一蹴。
それでも批判が続く中、「本人(ラクテイシア)が喜んでるならそれで良いじゃない!」とブランドンを擁護する声明も。
ここまで騒ぎが大きくなったのは、LGBTコミュニティーに対する差別や偏見が未だ社会に根付いているからではないかとの憶測が出ているが、上記にも出たように本人が喜んでいるのならこれ以上、事を荒立てなくても良い話ではないだろうか。