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【ニュージーランド】クライストチャーチ銃乱射事件 容疑者の74ページに渡るマニフェストに何が書かれていたのか

Source: Twitter/Metthew Keys

ニュージーランド南島の都市クライストチャーチで15日、金曜礼拝のためモスクに訪れていたイスラム教徒らを狙った銃乱射事件が発生した。49人が死亡・20人が重傷を負い、国内史上最悪の殺人事件となった。

世界中を震撼させた本事件の犠牲者へ、国内外問わず多くの人達から哀悼の声が届いている。また、今回の加害者(画像上)が白人男性であったことから、西欧メディアが容疑者を「テロリスト」ではなく「発砲者」と呼んでいることに対する批判も続出している。

混乱が渦巻く中、容疑者のブレントン・タラント(Brenton Tarrant)が犯行前に執筆したといわれている「マニフェスト」の衝撃的な内容に注目が集まっている。

Source: Twitter/Matthew Keys

『The Great Replacement(壮大な置換、乗っ取り)』という題名のマニフェストの表紙には、「新たな社会に向かい、我々は歩み続ける」とのメッセージと共に、中心にはナチス政党第2のシンボルと呼ばれているブラック・サン(Black Sun)が記されている。

イギリスの詩人ディラン・トマスが病床の父に向けて執筆したポエム『Do Not Go Gentle Into That Good Night(心地良い夜を受け入れるな)』から始まるマニフェストは、実に74ページにもわたる長さだ。

文書の構成は、「Introduction(はじめに)」「Answering questions(質問の回答)」「Section I」「Section II」「Section III」「Section Ⅳ」と7段階に分かれている。

「出生率だ。問題は出生率なんだよ。この文書で1つだけ覚えて欲しいことがあるとすれば、それは出生率をどうにかしないといけないことだ。」

ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどの欧米諸国への移民を、合法/不法入国問わず「侵略者」と呼ぶタラント容疑者が最も訴えたかったことが、白人の出生率と移民の出生率の違いだった。現代の欧米圏を「支配」しているという「虚無主義」や「個人主義」などを白人の低出生率の原因として批判し、伝統的な家族観を再構築する必要性を仄めかしている。

「このままの出生率では、ヨーロッパ人は消滅してしまう。侵略者にヨーロッパの土地、文化、人々を奪われてしまう。」

白人の低出生率と移民の高出生率に対する危機感を書き終えたタラント容疑者は、「質問と回答」の項目で自分自身について語り、信条や犯行の動機について明らかにしている。

「俺はごく普通の28歳の白人男だ。オーストラリアで低所得層の労働者階級に生まれた。教育には興味がなかったし、学校での成績は悪かった。大学にも面白そうな学部がなかったから行かなかった。世界中を旅するために短期間働いて貯金した。俺は自分の人種を守るために立ち上がった、普通の親元に生まれた普通の白人男だ。」

Source: Twitter

「暴力的な攻撃を仕掛けようと決意したのは、あることが切っ掛けだった。2年前の春、欧米諸国の現実を目の当たりにした。俺は東アジアと東南アジア、そして西欧を旅していた。スペイン、ポルトガル、フランス・・・。その時、あの事件が起こった。ストックホルムテロ事件だ。イスラムの侵略者が、無実のヨーロッパ人を次々に虐殺した。いままでの俺なら、『またか』と皮肉混じりに冷笑していただけだろう。だが今回は違った。11歳の幼い少女エバ・アカーランドが犠牲者の1人だと知って、俺の中の全てが変わった。無関心ではいられなくなったんだ。2017年のフランス大統領選挙では、侵略者によるヨーロッパの乗っ取り行為を知りながら、グローバル主義者の政治家を大統領に当選させた。ヨーロッパの移民問題は、民主主義の力では解決できないと悟った瞬間だ。最後に俺を突き動かした出来事は、フランスを旅していた時に目の当たりにした光景だった。今まで俺は、非白人によってフランスが侵略されているという噂話を聞く度に、『大袈裟な』と真面目に捉えてこなかった。だが実際にフランスに行ってみると、その話が事実だと理解した。どんな小さな街へ行こうが、侵略者はそこにいた。街を歩くフランス人は1人や高齢者であるのに対して、侵略者は若く活発で大家族を連れていた。フランスなのに、フランス人がマイノリティーになっていた。この呪われた街から早く脱出しなければと、俺は即座に車を出した。その途中、地平線まで続く大きな墓場を横切った。ヨーロッパの土地を守るために戦った戦士達の墓だ。それを見て、戦士の努力と勇気も虚しく、今この土地が侵略者に破壊されている現実を前に、俺は涙を堪えることができなかった。どうして俺達は、侵略者が欧米を占領している光景を黙って見ているんだ?なにも反撃せずに?なんで、誰も何もしないんだ?なんで、俺は何もしないんだ?俺じゃなかったら、誰がやる?その時、俺の中で決心が付いた。行動に移すのだと。武力を使って、侵略者に反撃を仕掛けると。」

西欧諸国へ旅行に来ていた際に、イスラム系移民によるテロ事件が勃発したこと、そして”噂”で聞いていたという多くの移民達の姿を実際に見たことが、彼の”ヨーロッパの消滅”に対する危機感に強烈な刺激を与えたことが記述されている。

彼は無数にある質問への回答を続けた。「名声を得ることは動機ではない。証拠に、過去に乱射事件を犯した人の名前は誰も覚えていないだろう」と記し、自身は物静かで人前に出たがらない内向的な性格であると語っている。そして、「名声はどうでもいい。目的は俺の取った行為によって社会的・政治的な不安と恐怖を駆り立て、現状を打開させることだ」と明言した。また、ニュージーランドにあるモスクを狙った理由として、「欧米諸国にはもう逃げ場がないことを立証させる為」であったと話している。

Source: Twitter

その他にも、タラント容疑者は自身の信条と自己主張を陳述した。

「銃を乱射した後に唯一後悔することがあるとすれば、それはもっと侵略者を殺すべきだったことだ。裏切り者もな。」「俺は別に、自分達の国に住んでいるイスラム人は嫌ってはいない。俺の故郷に侵略して、俺達の土地や文化を乗っ取ろうとしているイスラム人は嫌いだ。」「外国人も嫌いではない。世界中を旅している時、彼らは俺に親切な心持ちで接してくれた。一部を除いて。俺は世界中の人の健勝と繁栄を祈ってる。だが、俺の故郷を侵略しに来る奴らは話が別だ。」「俺に殺された奴らは”無実”ではない。他人の土地を占領する奴らは全員が有罪だ。」

また、彼は一部の人間が富を独占する資本主義を批判しており、自身の政治思想と合致している体制がある国は中華人民共和国であると主張している。そして、自身は左翼でも右翼でもない、あくまで”エコファシスト”であると明記した。

しかし、こうした数々の主張を読んでいくと、タラント容疑者の歪んだ正義感と自己正当化が強く表れていることが分かる。

彼が犯行時に使用した銃器には、バルカン半島でオスマン帝国と対峙した司令官の名前や白人至上主義のシンボルである『14 Words』を記す”14″の数字が書かれていた。更に、タラント容疑者が投稿した犯行時の動画には、オスマン帝国時代にイスラム教徒へ改宗したボシュニャク人を大量虐殺したラドヴァン・カラジッチを讃える曲が流れていた。また、1997年から2013年にかけてイギリスはロザラムで発生した、移民らによる集団児童性的搾取事件への復讐の意が込められているかのように「For Rotherham(ロザラムのために)」との文字も刻まれていた。しかし、その事実を知った被害者の1人である女性は、「彼は私を代弁していない。彼は最低なことをした」と訴えている。

オーストラリアのオンラインメディア『ABC』の入手した情報によれば、タレント容疑者をよく知るというフィットネス・ジム管理者の女性は、彼についてこう述べている。「彼は献身的なトレーナーだったわ。子供達に無償でトレーニングを提供するプログラムに熱心に参加していた。身体の健康に気を遣う、親切で優しい人だったのよ。こんな過激な事件を犯すような人ではなかった。世界を旅するためにトレーナーを辞めたんだけど、旅行中に彼を別人に変えた何かが起こったのかもしれない。」

タラント容疑者の犯したモスク銃乱射事件の死傷者は、現在分かっているだけで69人に上る。

1980年代に家族と共にアフガニスタンから移住してきたという71歳のダオウド・ナビ(Daoud Nabi=画像下)さんは、殺される直前にタラント容疑者に笑顔で「Come in, brother(どうぞお入りください、私の兄弟)」と挨拶をしたという。

Source: Instagram

犠牲者の中には、まだ3歳であったムカド・アブラハム(Mucad Ibrahim=画像下)君も含まれていた。事件当時は、金曜礼拝のために父親と兄(画像下)と共にモスクへ訪れていた。銃乱射を生き延びた兄のアブディさんは事件後、フェイスブックに弟との写真を掲載し、自身の思いをこう書き残した。「私達は神と共にあり、私達は神の下へ戻ってくる。弟よ、私達は君のことを強く思い続ける。」

Source: Facebook

5年前にニュージーランドへ移住したというヨルダン出身のワシーム・ダラグマ(Waseem Daraghmeh=画像下)さんは身体に5発の銃弾を受けて重傷を負うも、後に生還したとの情報が入っている。しかし、同じく4発の銃弾を受けた彼の娘(画像下)は、未だに生死を彷徨っている危険な状態に置かれている。

Source: Twitter

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