Josh Weed(ジョッシュ・ウィード)は、ユタ州出身のモルモン教徒。自分の人生を綴った記事を達筆しており、ブロガーとしても活躍している。
モルモン教はキリスト教の一派だが、コーヒーを飲むことを禁止したり、一夫多妻制を認めるなど、聖書の教えと相容れない教義に強い反発を受け続けている。しかしモルモン教はキリスト教と同じく、同性同士の結婚を認めていない。
ジョッシュはそんな反発の強い宗教ながらも、従順で信仰の厚いモルモン教徒であった。妻のLolly(ロリー)も敬虔なモルモン教徒で、4人の娘と幸せな家庭を築いてきた。
そんなジョッシュは2012年、自分がLGBT(性的少数派)のゲイであることをブログで公言しているが、「モルモン教の教えに反する」と異性との結婚に踏み切ったという。妻や娘たちも彼がゲイであることを承知しているが、ウィード一家は15年もの間、結婚生活を守り続けてきた。
しかし遂に今年、本当の自分を押し殺してまでモルモン教に忠誠心を誓っていたジョッシュが、妻との離婚を決意したのだ。
「自分の人生にこれ以上嘘は付けない」離婚するしか道はなく
愛する妻と4人の娘と幸せな毎日を過ごしていたが、ジョッシュには常に複雑な心境がつきまとっていた。
彼はブログにこう綴った。
「僕はゲイだけど、神の教えに背いてはいけない。異性との結婚は、神が僕に臨んでいたことだから。」
「小さい頃から影響を受けてきたセラピスト達や教師、リーダーと呼ばれている人達から、異性との結婚しか”神と共存する”ことは道はないといわれ続けてきた。だから、そう信じてきたんだ。」
そうしてジョッシュは、ゲイであるにも関わらず女性との結婚を押し通し、モルモンの教えに忠実な人生を送るように努めたのだ。
しかしジョッシュはこう続ける。
「でも、僕の中には常にむず痒い気持ちが残っていたんだ。尊敬する人達に言われたことは、本当は僕を混乱させ続けていた。」
「だから僕はずっと、妻に嘘を付いていた。確かに身体を寄せ合ったときは気持ちが高騰したし、少なからず僕をロマンチックな気分にさせた。でも、それが真実の愛だったかというと、そうじゃない。でも僕は、そんな一時的な気持ちの高騰が妻への愛であったと、自分を騙して言い聞かせていたんだ。」
そして離婚を突き付けられた妻のロリーも、ブログに自分の気持ちを綴っている。
「夫は私を女として愛していなかった。彼は私を欲しいとは思っていなかった。彼は私を本当には愛していなかったの。彼は一度も、私を熱心に見詰めてくれたことはなかったわ。私を愛情深く抱きしめてくれたことも。私に対する扱いは、まるで姉妹のようだった。」
ロリーは、「夫は自分に嘘を付いていた」と、精神的にかなりのショックを受けている様子だ。
家族として協力し合う関係に
しかし、ウィード一家はいつまでも悲しみに暮れているわけではない。
ジョッシュとロリーは離婚した後も娘達を育てるために、家族として協力し合う関係を保つ方針を立てたのだ。
そして双方とも、モルモン教徒であり続けることを約束した。